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めん羊は非繁殖季節(春〜初夏)でも卵巣内では卵胞の発育、退化が常時行われている。この時期に発情および排卵を誘起し、交配して産子を得る試みは1950年前半から世界各地で報告された。季節外繁殖の利点は、1)年2回(秋と春)交配による子羊の増産、2)秋の交配により不妊であった雌羊の早期受胎、3)明2才羊の早期受胎、4)年2回のラム肉生産、出荷が可能、5)農閑期の利用と厳寒期の分娩をさける、などが挙げられる。
非繁殖季節における発情、排卵の誘起に関して多数の研究報告、総説があるが、その中で、プロジェスタージュン(経口、注射、膜内、皮下移植など)と性腺刺激ホルモン(PMSG、FSHなど)の併用が基本となっている。筆者らは主に、MAP膣内スポンジと600〜750IU
PMSGを併用している。
これまでの試験から、MAP膣内スポンジの9日間処置とPMSG 750 IU注射により95%の高い割合で発情、排卵が誘起できることを認めた。分娩率も、自然交配および人工授精で60〜65%を得ている。さらに、PMSGの投与量に関して600
IUと750 IUで検討した所、受胎率(50%、42%)および子羊生産率(2.20、1.45)に有意差がなかったことや排卵数の増加に伴い、産子数は増加するが胚の死滅率も増加することから、現在は600IUを使用している。一方、PMSGの投与時期に関しては、MAP膣内スポンジの除去前2日に注射した方が高い受胎率が得られた。
この理由としては、PMSGの注射後2日間に卵胞の発育を促し、エストラジオール−17β(E2)→黄体形成ホルモン(LH)上昇、そして発情開始のLHサージ、排卵をより自然の状態(繁殖季節)に近づけることができるためと考えられている。
最近では、ホルモン処置後発情は1〜2日間内に集中することから、雄羊による自然交配やハンドサービス(1回のみ交配させる方法)ではなく、新鮮原精液や凍結精液を用いて、処置後発情発見をしないで、定時的に人工授精を行っており、50〜65%
の分娩率が得られている。その結果、前述のPMSG(600IU)をMAPスポンジ除去時に注射した場合は、新鮮原精液で処置後48時間目に、凍結精液では処置後60時間目に人工授精すると最高の分娩率(各々、59.5%と47.8%)が得られた。一方、PMSGをMAPスポンジ除去2日前に注射した場合は、新鮮原精液、凍結精液とも処置後36時間目(発情が早く来るため人工授精も早く行う)が各々64.1%と23.8%と最高であった。
特に、凍結精液による人工授精は通常の子宮頚管外部に授精(写真1)する方法とは異なり、腹腔内視鏡を用いて直接子宮内に精液を注入する方法(写真2)で、現在まだ研究段階であるが、海外では野外でも実施されている。近年、MAPスポンジような合成黄体ホルモン含有の膣内スポンジではなく、図3に示したような"Y"字型の0.3gのプロジェステロン含有の膜内挿入具が開発、市販させているので、その効果をMAPスポンジと比較している所である。
MARスポンジや写真3に示したCIDRは現在、研究用として使用しているが、このほかに自家製の膣内スポンジ(長さ5cm、直径2.3cmの円柱状スポンジに0.5gのプロジュステロンを含有したもの)を作成し、その有効性も確認している。
この2、3年、北海道内や本州のめん羊農家から季節外繁殖の実施依頼も多くなり、今年も8ケ所で、計300頭以上のめん羊に実施した。受胎(分娩)率は、各農家、使用する雄羊、交配方法によって異なるが、40−70%であった。今後さらに、めん羊増産のための一つの技術として「季節外繁殖」を取り入れた繁殖計画を実施して頂きたいし、筆者も協力させて頂くつもりです。
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