我が国へのダチョウの導入は1988年に始まり1995年以降本格化し、現在、沖縄から北海道の全国で1万羽弱が飼養されている。
ダチョウはウシに比べて生産性が高く、ヒトの食物と競合しない粗飼料や食品副産物等の地域飼料資源を活用して、付加価値の高い畜産物を生産できる優れた動物資源であり、地域活性化を期待して導入されている事例もある。一方で、我が国のダチョウ飼養の歴史が浅く、管理技術に多くの問題を抱え、国産ダチョウ肉やその他生産物の認知度の低さ、流通ルートの未整備などといった問題もある。
(財)日本農業研究所が特用家畜等生産技術向上対策事業の一環として、長期間にわたって実施したダチョウに関する研究調査の成果は、実規模での調査研究事例が極めて少ない我が国において貴重なものであり、これらの情報は実際の飼養にあたっての注意、目標、目安として十分役立つものと考えられる。そこで、大学等の成果や情報、地域振興への貢献の一環としてダチョウの飼養に取り組む現地の事例等も含めて、ダチョウ関係者にとって有用な情報提供を行うため、マニュアルとして取りまとめたものである。
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