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途上国を含めて近年における養鶏産業の発展は著しいが、健全な養鶏を営むうえで鶏病問題は大きなウエイトを占め、特に大規模飼育の企業的養鶏においては鶏病対策は欠かせないものとなっている。本書は、鶏病に関する技術の普及向上を目的として多年にわたり活躍してきた鶏病研究会が創設30周年記念事業として出版した同名の書の英語版で、会員である国、県、大学、民間研究機関などの40名にのぼる代表的な鶏病専門家(編集委員長:佐藤静夫)が執筆にあたっている。
本書の主体をなす鶏の疾病としてはニューカッスル病をはじめとして35種の疾病をあげて、それぞれに疾病の概要、症状と病変、診断、予防と対策の各項に分けて記述すると同時に、特徴的な症状や病変などを説明する鮮明なカラー写真が豊富に付されているのが特色である。伝染性疾患だけでなく、栄養障害、中毒などの非感染病についても記述している。また、鶏以外の日本ウズラ、アヒル、ガチョウ、七面鳥の疾病についても解説し、さらに愛玩用鳥類(ハトを含む)の疾病についても、それぞれの専門家が記述している。
巻末には、微生物学的検索法として(1)ウイルス分離法として細胞培養による分離法と細胞変性効果(CPE)を示す写真、発育鶏卵による各ウイルスの分離法などがまとめられ、(2)細菌検査法の各種、(3)寄生虫検査法、(4)遺伝子診断、(5)各種の血清学的検査法について写真入りで説明してある。また、鶏病研究会がまとめた各種疾病に対する予防接種プログラムを紹介すると同時に、日本で入手(製造、輸入)できる鶏病関係のワクチン類と診断液のリストを掲げてある。さらに、主要な鶏病28疾病については、診断のポイントとして、その病性、症状、病変、診断法、予防と対策などを要約した一覧表を作成し、利用者の便を図っている。
英文の強みもあり、家畜衛生分野の技術協力の現場において、有用な技術移転教材として活用できるだろう。 |
1.鶏の疾病(35疾病)
2.ウズラ、アヒル、ガチョウ、七面鳥の疾病
1)日本ウズラの疾病(6疾病)
2)アヒルとガチョウの疾病(4疾病)
3)七面鳥の疾病(4疾病)愛玩鳥類の疾病
3.愛玩鳥類の疾病
4.診断の概要と予防接種計画
1)微生物学的検査法
2)予防接種プログラム
3)主要鶏病の診断便覧 |
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