公益社団法人
畜産技術協会


平成15年度畜産をめぐる国際問題研究推進事業
(学術シンポジュウム等開催推進事業)
「新興疾病・人獣共通感染症に関するワークショップ」の記録
平成15年6月 (社)畜産技術協会 A4判 65頁


 
概 要
近年、かってはあまり見られなかった家畜の疾病が世界各地で確認されるようになり、これらの疾病は新興疾病(Emerging diseases)と呼ばれるが、その多くは人にも感染する人獣共通感染症であるために、家畜衛生上だけでなく、公衆衛生の観点からも大きな関心がよせられている。本ワークショップはこのような疾病について、畜産獣医関係者への情報提供と意見交換を目的として、平成15年6月19日、東京のイイノホールで開催されたもので、@世界の保健衛生における新興疾病の重要性と題して米国ジョージア大学のDr.Brown教授、Aウェストナイルウイルス感染症と題して国立感染症研究所の高崎智彦博士による講演の記録集としてまとめられている。
 Brown教授の新興疾病の講演では、とくにBSE、鳥インフルエンザ、SARSの流行を例に引いて地球規模での数多くの新興疾病について解説するとともに、(ア)ヒトと動物の病原体は多種にのぼり、その多くが種の壁を越えて感染すること、(イ)ペット由来の新興疾病にも注目すべきこと、(ウ)ヒトから動物への疾病の伝播等について、豊富かつ貴重なスライド写真多数を用いて紹介し、新興疾病にどう対処するかを述べた。社会における新興疾病等の位置付けや重要性、今後の動向を考えるうえで有益な情報を提供している。
 高崎博士のウェストナイルウイルス感染症の講演では、米国における本病の流行の体験と防疫措置等について紹介するとともに、日本脳炎との比較、本病に関連する動物等について解説し、公衆衛生上および動物衛生上の重要性と、もし日本に本ウイルスが侵入した場合の対策や対応について述べた。とくに関係する諸機関の連携と協力、野鳥・オトリ鶏・死亡カラス等の計画的なサーベイランスの重要性が指摘された。米国における年次的な流行の広がりは注目すべきもので、緊急対策、能動的・受動的強化監視体制の実際も参考となるだろう。
 講演後の質疑応答では家畜保健衛生所や研究機関等の関係者から活発な質問が寄せられ、その要旨も記録されている。付属資料として、講演に使用されたスライドが新興疾病関連で120葉、ウエストナイル関連で62葉、それぞれカラー版で添付されており、講演の理解を深めると同時に貴重な映像資料を提供している。
 
構 成
 1.「世界の保健衛生における新興疾病の重要性」 Dr. Corrie Brown, University of Georgia, USA.
 2.「ウエストナイルウイルス感染症」高崎 智彦博士、国立感染症研究所
 3.質疑応答
 4.付属資料―コーリー・ブラウン博士 講演スライド
       高崎 智彦博士 講演スライド


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