 |
世界貿易機構(WTO)は国際間の円滑な貿易の推進をめざす国際機関である。衛生植物検疫措置(SPS)協定合意は、国際貿易の推進に関して健康問題が負の効果をもたらすことを低減するために、ヒト、動物および植物の保健衛生にかかる規約を定めたもので、国際獣疫事務局(OIE)は動物衛生規約とそのマニュアルで、国際食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)は食品規格についてSPS合意に関係している。この報告書は、このような背景のもとに関係国際機関がアジア太平洋地域の各国政府の畜産関係者を対象として、2003年7月、タイ国で開催した標題のワークショップの内容をまとめたもので、6名の専門家の報告(発表)の要旨である。
@は危害分析重要管理点と邦訳されるHACCPについての基本的な解説と、その実際の適用についての具体例や進め方を簡明に記述している。付録にあげられた具体例によるHACCP管理シートや危機分析と重要管理点のチャート、HACCP計画等は参考となろう。
Aは食品規格Codex Alimentariusの発展の経緯と構成、基準の開発と発展のための各種の組織や委員会活動等を紹介する。公的に認められた食品の国際基準、ガイドラインと勧告は、国際間の貿易を促進し、貿易にかかる紛争の解決の基準ともなる。
BはSPS合意についてのOIEの役割を解説すると同時に、世界における動物衛生の専門機関として動物疾病の発生とその後の経過、疾病の監視とコントロールの調整、動物および動物産品の国際貿易における衛生基準の調整等、OIEの活動の大要を述べている。
Cは動物および動物産品の輸入に伴う特定のリスクについて、その認識、評価、管理にかかるリスク分析の実際を述べる。最後に質的および量的なリスク評価を総括して、それらの利点と欠点を整理し、リスク評価の原則を要約する。
Dは動物および生産物の国際貿易に関連する「食の安全」をめぐって、国際機関の役割を述べ、とくに食品規格Codex Alimentariusによる食品の安全確保の措置、消費者の関与、食品規格がこれまでに果たしてきた成果等を紹介する。
最後に、EFAO/WHO食品衛生・人獣共通感染症研究訓練センターの活動について紹介する。本センターはベルリンに所在し、サルモネラ感染症などの人獣共通感染症にかかる免疫、防除、診断、疫学等に関する会議やワーキンググループ、ワークショップの開催、主としてヨーロッパ地域を対象に関連のサーベイランスや情報の収集と配布等を行っている。 |
1.危害分析と重要管理点(HACCP):Dr. Nagah M. Hafiz
2.衛生植物検疫措置(SPS)と食品規格: Vishnu Songkiti, AFPHCA/FAO
3.SPS合意におけるOIEの役割: Teruhide Fujita, OIE
4.輸入リスク分析におけるリスクアセスメント: Ulrich Kihm, Safe Food Sokutions Inc. Swiss
5.食の安全をめぐって: Sabhash Morzaria, FAG RAP, Bangkok
6.FAO/WHO食品衛生・人獣共通感染症研究訓練センター
|
|