公益社団法人
畜産技術協会


平成17年度畜産をめぐる国際問題研究推進事業(海外畜産振興実態調査等事業)
平成17年度海外畜産振興実態調査事業調査報告書
平成18年3月(社)畜産技術協会


概 要
この資料は平成17年度に引き続き多数の応募課題の中から、重要性・緊急性の高い7課題を、専門家からなる選考委員会によって選定し、その調査結果をまとめたものである。課題は、下記「構成」のところに記載した通りである。
 (1)は、英国スコットランドで、如何なる形で農業および畜産経営が維持され、持続可能な地域社会の構築に向けた取り組みが行なわれているのか実態を明らかにし、わが国の中山間地域等における持続可能な畜産と地域社会形成に関する対策の検討に資することを目的とした。
 (2) は、2005年5月のOIE総会で、「輸送」「人道的と殺」「防疫目的の殺処分」の分野について世界家畜福祉ガイドラインが決定され、ついで8月から2010年までの期間で「飼育舎」「飼養管理」における家畜福祉基準が検討されることになった。本調査では、OIEの新たなガイドライン作成の動向とそれを先導するEUの最近の家畜福祉政策を調査分析した。
 (3) は、わが国における次世代の家畜個体識別システム構築の参考とするため、世界に先駆けて家畜個体識別制度(NLIS)を導入したオーストラリア、ヴィクトリア州、および2008年1月1日以降、加盟国すべての羊、山羊に電子標識の装着を義務づけることにしているEUを調査した。
 (4) は、今後のわが国の有機畜産推進上の参考とするため、スイス国内で有機畜産(酪農)の推進をはかる政府機関、試験研究機関、有機農業団体、その他の非営利組織(NGO)、関連加工・流通業者等の役割と協力体制の現状を調査した。
 (5) は、平成13年国内初のBSE、その後高病原性鳥インフルエンザ等が発生し、食品や農産物の安全・安心に対する国民の期待が急速に高まっている。本調査は、わが国における体制整備の参考とするため、先進的な生乳の生産現場の衛生管理および品質保証に取り組んでいるドイツの事例を調査した。
 (6) は、わが国でも食品工場副産物を用いたリキッドフィーディングシステムが導入され始めた。本調査では、リキッドフィーディングに関して約40年の経験があるオランダおよびデンマークの実情を調査した。
 (7) は、3〜4週齢の離乳子豚は、腸管が十分に発達していない上に、様々なストレスを受けるために免疫機能が低下し、下痢、肺炎等の疾病が多発し、発育が停滞する。この問題を軽減するために、わが国では成長促進を目的とした抗生物質および重金属(銅、亜鉛)が飼料に添加されている。一方、養豚が圧倒的に盛んなベトナム、メコンデルタ地帯では、抗菌性成分を含む天然植物である地域飼料資源を用いた低投入中位生産が志向されている。本調査では、近年発見されたとされる有用な植物種を含め、抗生物質に代わって使用されている、あるいは使用される可能性のある天然植物に関する研究状況と、ベトナムにおける豚の生育・使用状況を調べた。
 
構 成
1. 英国スコットランドの条件不利地域における畜産経営と持続可能な地域社会の構築に関する調査
((社) 中央畜産会)
2. OIE世界家畜福祉ガイドラインに対応するEU畜産物フードシステム開発の実態調査
(日本獣医畜産大学応用生命科学部・動物科学科・食料自然管理経済学教室)
3. オ−ストラリアにおける牛の電子標識による個体識別による個体標識システムに関する実態調査
(富士平工業株式会社)
4. スイスにおける有機畜産の推進施策と技術普及体制に関する調査
((財) 農政調査委員会)
5. ドイツにおける生乳生産段階での品質管理体制の構築に関する取り組みの実態調査
(九州大学大学院農学研究院農業資源経済学部門、(社) 中央酪農会議 総合対策課)
6. 豚リキッドフィード用食品副産物の品質管理法の調査
(株式会社 セキネ)
7. メコンデルタ養豚地域における抗菌性物質に代わる天然由来物質の使用実態の調査と探索
((独) 畜産草地研究所)


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