本資料は、米国農務省経済調査局刊行のJames M.MacDonald 及び William D. McBride著「米国の畜産業の変容:規模、効率及びリスク」(“The Transformation of U.S. Livestock Agriculture: Scale, Efficiency, and Risks ”;Economic Information Bulletin Number 43、2009年1月)を翻訳したものである。
この報告書は、農業センサス及び毎年の農業資源管理調査(ARMS)から得られる農場レベルのデータに基づいて作成される米国農務省経済調査局の最近の報告を活用して、家畜生産における構造変化の本質、原因及び影響について記述したもので、肥育牛、酪農、豚及びブロイラー生産における構造変化の背後にある推進力について評価を行うとともに、生産性、価格及び汚染・健康リスクへの影響について記述し、農場の規模構造、組織及び生産業務、並びに加工業者や統合会社との契約による連携の各変化に焦点を当てて分析している。
米国の家畜を生産する農場は、規模が益々大規模化し、専門化が進展している。今や、投入財の供給、農場生産及び加工の様々な段階において、正式な契約や資産の共有を通じて、その連携が益々強化されてきている。このような構造変化は主として財政的利益によって促進されているが、そうした構造変化は、畜産部門における生産性の向上を支えてきた。しかし、構造変化は、同時に、工業化で一定の地域に動物や動物排泄物が集中するにつれて、社会に環境・健康リスクをもたらす可能性もある。また、構造変化は、生産性の向上を導き、そのことを通じて商品の生産コストの低減に繋がった。生産コストが低いと概して卸売価格や小売価格も安くできるが、畜産農業の構造変化がもたらしたその効果は、それほどでもなかったこと、等を指摘している。
本資料に記述されている、米国における畜産農業の構造変化の状況に関する情報は、我が国の畜産業の振興に資する極めて有益な内容を多く含んでいると思われる。関係者の有効な活用を期待する。 |