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メキシコは日本の5.3倍(196万ku)の国土に8846万人の人口を持ち、国土面積の60%を農林業に利用し、人口の30%が就農している農業を基幹産業とする中進国である。農業生産は国民総生産の7.6%で、畜産はその33%を占める。飼養家畜は、牛(3205万頭)、豚(1520万頭)、羊(585万頭)、山羊(1044万頭)、
鶏(2億3831万羽)、蜜蜂、それに馬類(1240万頭)である。しかし、地形・風土など自然条件、市場・土地 所有権など社会経済条件などから地域格差、階層間格差を生じ、農業の二重構造を形成し、畜産の形態も 地域によって異なっている。肉生産は約250万トン(牛肉45%、豚肉28%鶏肉24%)、牛乳は55.8億トン(乳専用牛は150万頭で牛の4%)、鶏卵は97.5万トンである。畜産物消費量は年間1人当たり
枝肉35.3kg(牛肉14.0、豚肉12.6、鶏肉7.9、羊肉0.3、山羊肉0.5)、牛乳113.7リットル、鶏 卵13.8kgとなる。近年技肉生産者価格が消費者物価指数と同様上昇を続け、食費の負担増となり1982年以降 肉類の消費は低下している。牛乳は都市部を中心に需要増となり不足分を輸入に依存している。畜産業では家畜伝染病による被害が毎年膨大な額に達しており、その防除が重要になっている。メキシコ畜産業の今後の発展には、経営の二重構造の解消、飼料生産基盤の確保、生産性向上の伸び悩み、労働力の低下、衛生問題、畜産物の質の管理と流通体制の整備、そして肉用素牛のアメリカ向け輸出などの課題の解決が重要である。 |
1.メキシコの経済および農業概説
2.メキシコ畜産業の概要
3.メキシコの家畜衛生
4.畜産物の流通など
5.メキシコ畜産業の課題 |
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