 |
途上国からの畜産協力の要請に的確に対応するためには途上国の畜産の実態を調査し、技術協力の検討に必要な基礎資料を収集しておく必要がある。この調査報告書は、西マレーシア(半島部)の酪農を主とする技術的な実態の把握を目的に、平成3年10月と同4年2月の2回にわたり現地に調査団(第1次調査団長:中西幹育氏、第2次調査団長:鎌田啓二氏)を派遣して畜産全般の概要把握と関係資料の収集を行い、特に@酪農などの畜産生産の概要、A酪農などの政策の概要と振興計画、B酪農などに関する諸制度の概要、さらにC酪農をはじめとする畜産分野における技術協力の可能性などを分析し、検討したものである。
西マレーシアの酪農は、同国の畜産の中ではマイナーの分野で畜産総生産中に占める酪農の割合は1%にも満たず(1986年現在)、自給率は5%程度で牛乳および乳製品の大部分を輸入に依存しているが、所得の向上とともに畜産食品の消費が拡大しつつあり、国としてもDairy Development Programを策定し、Milk
Collecting Center(MCC)を各地に設置して、国内生産の増強に努めている。本調査報告書では、政府の酪農振興施策の内容、MCCの活動状況、酪農協同組合の活動、牛乳の生産から消費にいたる一連の酪農問題の現況を調査して紹介するとともに、マレーシア酪農が抱える課題を指摘し、さらに我が国の技術協力の方向についても提言している。
マレーシア酪農の課題としては、@現在の乳牛の大部分を占めているフリージァン・サヒワール(FS)と呼ばれる交雑乳牛の能力の向上、A輸入に多くを依存している雌牛資源の確保、B飼養管理の改善、C新技術の導入、D企業的酪農民の育成、E酪農団体の育成と強化、F生産牛乳の品質改善などをあげ、我が国として考えられる技術協力の内容として、@モデル農場の設置、A技術研究の充実、B技術者の研修の拡大、C専門家の派遣などをあげている。 |
1.マレーシア農業の概要
2.マレーシアの酪農
3.マレーシアの飼料生産の概要
4.マレーシア酪農の課題と我が国の技術協力の方向
付:蒐集資料リスト
|
|