公益社団法人
畜産技術協会


平成5年度畜産技術協力推進事業報告書
インドネシア特用家畜(アヒル)現地調査報告書
平成6年3月 (社)畜産技術協会 A4版 54頁


 
概 要
東南アジア地域でアヒルは重要な家禽類のひとつであるが、我が国では極めてマイナーな家畜となっている。アヒルについての関係資料を収集し、アヒルの飼養、生産の現状などを把握して、必要な技術蓄積を図ることは、今後の我が国のこの地域についての畜産協力の展開の上で極めて重要なことと考えられる。この報告書はこのような趣旨に沿って、東南アジアのアヒルの飼養の盛んな国のひとつであるインドネシアを対象に、平成5年9月に実施された現地調査(団長:萬田正治・鹿児島大学)の成果品である。
 アヒルの飼養羽数は、1970年代では750万羽程度であったものが80年代の末期までに急速に増加して2,500万羽前後に達し、その後は横這い状況となっている。インドネシアのアヒルは種類に富み、Indian Runner, Tegal, Mojosari, Alabio, Baliなどの品種があり、それぞれの特徴が記述されている。インドネシアにおけるアヒルは卵用を主たる目的とし、家禽卵の生産量のうちアヒル卵は25%を占める(残りの57%が採卵鶏、18%が地鶏由来)。一方、アヒル肉は食肉生産量の1%を占めるに過ぎず、家禽肉全部で46%(ブロイラー22%、地鶏21%など)を占めている。
 アヒルの改良と増殖をはかるための施策として、アヒル農家を組織して種アヒルと初生雛の生産を行うVillage Breeding Centerやアヒルの飼養標準として栄養成分の週令別要求量の設定などを紹介している。アヒルの産卵率が意外に高いのにも驚かされるだろう。その他、インドネシアで行われている飼養管理の方法、アヒル舎の構造、種卵の生産から孵化、雄雌鑑別法、育雛方式などについての実情が記述されている。アヒルの飼育は水田稲作と密接な関係があり、アヒルの水田放し飼いの実態についても具体的な調査記述がある。今後の課題として、@卵用アヒルの改良、Aアヒル肉の消費拡大、B集約的な飼育の問題点、C水田放飼の推進などを提起している。
 
構 成
1.インドネシアの農業、畜産の概況
2.インドネシアのアヒル産業の概況
3.インドネシアのアヒル産業の課題と技術協力の方向

付:参考文献と収集資料リスト(巻頭に豊富な写真)


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