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ミツバチは日本においては特用家畜とされているが、一部の開発途上国では重要度が高い家畜となっている。ヴェトナムはそのひとつに該当し、今後の技術協力の対象ともなり得るところから、同国のミツバチに関する技術的実態の調査と基礎資料の収集を目的に、平成7年2月、現地調査(団長:松香光夫玉川大学教授)が実施された。
ヴェトナムに存在するミツバチ種はトウヨウミツバチ、オオミツバチ、コミツバチ、クロコミツバチと導入種であるセイヨウミツバチの5種が主なもので、トウヨウミツバチ(Apis cerana)が最も広く国内に分布している。トウヨウミツバチは環境によく適応し、専業および副業の農民に歓迎されているが、ハチミツの生産量が少ないという難点がある。報告書は、ミツバチの各種についてその特徴を解説し、特にトウヨウミツバチとセイヨウミツバチについては、飼養の実態と飼養技術を詳述している。
養蜂家の総数は1万8千人とされ、その大部分はトウヨウミツバチの飼養で専業はそのうちの600人程度、セイヨウミツバチでは約900人の全員が専業という。専業は季節に合わせて移動(転飼)養蜂を行っている。蜂群数はトウヨウ種が5万箱、セイヨウ種が6万箱で、ハチミツの年間の生産量は2,200トン、ローヤルゼリーは1,000kgに達した。生産されたハチミツは水分量が高く、種々の花蜜が混合した雑蜜で市場性が低かったが、近年、品質も向上し、輸出力もついてきている。ローヤルゼリーは品質の向上もあったが、中国との競争により低迷している。
以上の調査所見をもとに、@ヴェトナムに適合したミツバチの育種と改良、A飼養管理形態の確立、さらにBミツバチ生産物の品質管理体制づくりと輸出を含む消費の拡大などを提案している。 |
1.ヴェトナムの養蜂業の現状
2.ヴェトナムの養蜂技術―飼養技術、育種改良
3.ヴェトナムの養蜂産業のあらまし
4.ヴェトナム養蜂産業の課題と展望
付:参考文献、収集資料リスト
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