公益社団法人
畜産技術協会


平成9年度畜産技術協力推進事業報告書
インドネシア乳製品加工事情現地調査報告書
平成10年3月 (社)畜産技術協会 A4版82頁


 
概 要
 畜産分野の技術協力の要請が拡大し多様化するなかで、開発途上国の多くで牛乳および乳製品の需要の増大がみられることから、今後、国内生産の振興のための牛乳の処理加工、乳製品の品質向上や流通部門などについての協力要請が高まるものと見込まれている。このような見地から、途上国の牛乳乳製品の生産から、加工、流通にいたる実情を調査して、これからの協力事業の発展に資するべく、平成9年10月、インドネシアを対象に現地調査(総括:山下喜弘氏・畜産技術協会)が実施された。
 インドネシアの酪農はアセアン諸国の中ではもっとも大きく、飼養頭数は34万頭をかぞえ、ホルスタイン種が約40%、残りはその交雑種である。乳牛の飼養は人口の大半が住むジャワ島に集中しているが、酪農は大都市周辺に立地しているわけではなく、遠隔の高地山岳地域で、耕地の乏しい場所が中心である。酪農家は平均で3頭程度の乳牛を飼養し、地域の酪農組合に所属し、上部団体としてインドネシア酪農協同組合(KUD)があり、生産牛乳の集配を行うほか、資金や資材の提供、技術指導、一部の牛乳の処理加工などを行っている。欧米の技術や資本を入れた民間の乳業メーカーが1980年代に輩出し、牛乳処理の大部分はこれらの民間企業がもつ近代的な加工処理施設で行われている。
 生産された牛乳はKUDが乳業会社に渡されるが、増産を最優先するために乳質についての取り決めがなく、冷却や輸送問題を含めて衛生面での改善が遅れている。生産者乳価に比して消費者価格が極端に高価である(5〜6倍)ことも改善の余地があろう。牛乳の消費は年率10%以上の伸びを示し、一方、国内生産は5%程度の増で需給のギャップはさらに増大するものと予測され、酪農振興は国の重要施策となっている。加工技術についてはとくに問題はないが、生乳の検査制度を含めて品質改善が最重要の課題といえよう。生産者から消費者に至るまでの牛乳の諸相、生乳の取引、乳製品の加工の実態、乳業会社の現況など、インドネシア乳業の全貌がまとめられている。
 
構 成
1.インドネシア酪農の概況と動向
2.牛乳乳製品の需給と貿易
3.生乳の取引と乳製品加工の実態
4.生乳および乳製品の検査
5.海外の援助の状況
6.技術協力の必要性と可能性


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