公益社団法人
畜産技術協会


平成10年度国際防疫及び畜産技術協力推進事業報告書
ラオス・タイ家畜衛生部門現地調査報告書
平成11年3月 (社)畜産技術協会 A4版85頁


 
概 要
畜産発展の阻害要因としてもっとも大きく、かつ国家的、国際的な取組みを必要とする家畜衛生問題は技術協力の重要な課題であるが、特に問題となる口蹄疫の防疫体制と清浄化対策などについて、今後のこの分野の技術協力に資するべく、ラオスおよびタイ国を対象に現地調査(総括:中川秀次氏・畜産技術協会)を実施した。調査は平成11年2月に実施し、家畜保健衛生所の獣医職員が参加した。
 ラオスでは口蹄疫が流行しており、発生時に周辺地域のワクチン接種と移動の規制を行うが実効が上がらず、中国、ミャンマー、タイ、カンボディア、ヴェトナムとの国境には家畜移動検問所があるが違法な移動が少なくなく、本病の蔓延と流行を助長している。家畜の飼育と移動、動物医薬品、疾病予防、食肉衛生検査などを網羅した家畜管理にかかる法令と規則が紹介されている。
 タイ国では、長年にわたる我が国の畜産分野についての技術協力や資金協力もあって、家畜衛生の諸制度はワクチンの製造を含めて整備され、防疫活動も徹底しつつあるが、口蹄疫はいぜんとして発生している。口蹄疫防疫の成果をあげるには周辺国からの家畜の移入規制が課題となっているが、徹底は難しく、近隣国を含めた共同防疫活動が必要となっている。家畜防疫上、問題となっているタイ北部のラオス、ミャンマーとの国境地帯(いわゆる黄金の三角地帯)の防疫状況について、現地調査を行った。近年、関係の近隣国との間で、情報の共有、家畜移動の共同規制、ワクチンの供与、技術研修の受入などの協力事業が展開されている。
 この調査を通じて、我が国の家畜衛生行政の技術者として現地の家畜飼養の実態を見聞し、家畜衛生活動の現状に触れ、かつ海外伝染病についての知見を深める機会を持った収穫は大きいものがあるだろう。
 
構 成
1.ラオス国における畜産の概況と家畜衛生
2.タイ国における畜産の概況と家畜衛生
3.家畜衛生部門(口蹄疫防疫)における課題と技術協力の方向
付:参考資料


PAGE TOP

(C) Japan Livestock Technology Association 2005. All Rights Reserved. CLOSE