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我が国の技術協力の円滑な推進と効率的な展開をはかるためには、国際機関や他の先進諸国による技術協力の内容と成果を調査し、研究することは極めて重要である。このような視点から、ラオスの畜産開発にかかる国際機関や先進諸国の技術協力の展開状況などを調査検討するために、平成11年7月、調査チーム(総括:菱沼 毅氏・家畜改良事業団)が現地に派遣され、本報告書が作成された。
ラオスの畜産は同国のGDPの20%を占める重要な産業で、1986年から新経済メカニズムと呼ばれる経済の開放化が進めらているが、いぜんとして自給自足的な農業から脱しておらず、国際機関や先進諸国から各種の支援を受けている。同国の農業事情と畜産の現況について調査を進めるとともに、EUによる畜産支援プロジェクト、オーストラリア家畜衛生プロジェクト、国際機関とNGOなどの支援によるワクチン製造センター、豚繁殖ステーションへのカナダの支援、牛繁殖・普及ステーションへのオーストラリアの協力、採卵鶏繁殖ステーションへのオーストラリアの支援、酪農ファームへのキューバの支援などについて、関係施設の訪問と情報収集などを行った。
先進諸国と国際機関の畜産分野の協力・支援は、それぞれに異なるアプローチが見られるが、その視点は政府機関などへの直接的な協力ではなく、基本的には小規模農家対策を目標においた普及事業に力点があるように見受けられた。JICAによる畜産を取り入れた農業農村開発計画も農民の力を開発することを主眼としており、畜産分野の連携が計画に組み込まれている。
ラオスが指向する現金収入源としての畜産、輸出品目としての畜産という2つの畜産発展の目標に向かって、我が国の技術協力の方向と可能性について論評を加えた。政府および大学関係者等の我が国に対する期待は大きく、ラオスの畜産の位置付けを明確にした上で、一体的なものとして取り組むように工夫し、また人材養成に徹するのもひとつの考え方だろうとしている。協力のターゲットとしても、政府機関か、あるいは直接に農村・農家を対象にするかといった整理の必要性をあげている。 |
1.ラオスの農業と畜産の現状
2.技術協力の検討課題と協力の方向
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