公益社団法人
畜産技術協会


平成13年度国際防疫及び技術協力推進事業報告書
モンゴル家畜衛生部門現地調査報告書
平成14年3月 (社)畜産技術協会 A4判36頁


 
概 要
 畜産発展の阻害要因としてもっとも大きく、かつ国家的、国際的な取組みを必要とする家畜衛生問題は技術協力の重要な課題の一つである。本報告書はモンゴル国を対象に、特に問題となる口蹄疫を中心に畜産をとりまく諸事情を調査し、あわせて家畜衛生に関する技術協力の可能性と方向について検討した。調査団は、2001年9月に派遣され、林 茂昭(畜産技術協会)を団長に、国、県および関係団体の5名の家畜衛生関係(研究)者で構成され、将来のこの分野の技術協力を視野に入れた専門家の現地研修をも兼ねている。
 モンゴルの農業は就業人口の48%を占めるが、なかでも牧畜業は国民への食糧供給はもとより、生産高、従事人員、関連産業への原料供給面でも基幹産業となっている。1992年に社会主義体制から市場経済体制に移行し、行政執行体制も新しい社会の体制に対応すべく種々の改革が行なわれているが、いまだ移行期の域にある。「家畜の改良及び家畜の衛生に関する法律」が2001年6月に成立している。モンゴルの畜産は、自然草地を利用した遊牧民による放牧形態が特徴で、牛、馬、山羊、めん羊を飼養し、地域によってはラクダ、ヤクがこれに加わる。家畜資源は大きく、2000年の統計で牛310万頭、馬266万頭、めん羊1,388万頭、山羊1,027万頭を数えるが、夏の旱魃、冬の風雪による飼料不足で頭数は年によって極端に増減する。家畜と草地のミスマッチ、未熟な家畜管理技術も要因となる。
 2000年と2001年の口蹄疫の発生状況と防疫活動について記載されているほか、その他の家畜伝染病の発生状況と損耗状況、国内における動物用ワクチン類の生産状況についても紹介されている。関係機関の訪問を含めたこれらの調査をもとに、技術協力の可能性と方向を検討し、(1)中央と地方を通ずる病性鑑定技術の向上と検査体制、(2)サーベイランス体制の強化、(3)牧草生産技術支援などが当面の協力課題とされた。
 また、参考資料として、調査の終了時に先方および関係機関に提出した「調査報告書」を巻末にあげ、獣医師の技術向上、検査技術の向上、伝染病の清浄化を重要課題としている。参考の統計表(2000)は、家畜飼養状況、飼料(乾草など)生産量、家畜ごとの子畜の育成率などを示している。遊牧民戸数は全国で19.1万戸(全世帯数の34.6%)に達し、1戸平均の飼養頭数は牛16.2頭、めん羊72.5頭、山羊53.6頭、馬13.9頭、ラクダ1.7頭という。
 
構 成
 1.モンゴルの一般概況
 2.農業の概況
 3.畜産の概況
 4.家畜衛生の状況
 5.技術協力の可能性と方向
 参考資料(統計)


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