公益社団法人
畜産技術協会


平成13年度国際防疫及び技術協力推進事業報告書
ミャンマー畜産環境部門現地調査報告書
平成14年3月 (社)畜産技術協会 A4判76頁


 
概 要
東南アジアを始めとする途上国の畜産は、経済成長とともに急速に進展しつつあり、多頭羽飼育に伴う畜産環境問題が顕在化しつつあるところから、この分野の技術協力は近未来の重点分野の一つと考えられる。この調査は畜産環境問題の現況を把握し、問題点の摘出と改善策の検討、関連資料の収集などを行なって、技術協力の可能性と方向を検討しようとするもので、平成13年度事業としてミャンマー国を対象に、2002年1月、4名からなる調査団(総括:古谷 修:畜産環境技術研究所長)を現地に派遣した調査報告書である。
 ミャンマーの家畜頭羽数は牛1,096万頭、水牛244万頭のほかは、比較的少なく、国土面積に比し家畜の糞尿による負荷は構造的には起こらないと判断された。糞尿処理の現状は、ほとんどの農家では単純な素掘り、野積みで環境問題の意識はなく、少数の企業的畜産でも糞尿の固形分は堆肥化せずにそのまま耕種農家に売却されるのが普通で、液分は畜舎からの自然流出である。飼料生産力、畜産物消費の動向から考えても、大規模畜産経営の導入による局地的な畜産環境問題が生ずることはあっても、国全体としてみれば深刻な状況にならないだろうと思われた。しかし、一部の養鶏場による「臭い公害」は現に存在し、保健衛生や医療に関連する問題が指摘されている。
 農業事情と畜産事情についての全体的な情報が収集され、当局による畜産振興の方向が述べられている。畜産環境問題に関して調査団は、大規模畜産の出現に対処して(1)家畜糞尿の簡易な処理・利用技術の普及、(2)耕種部門との技術的な連携、(3)畜産環境対策の技術者の養成を提起している。また、ミャンマー当局からの畜産分野の技術協力として、(1)鶏の育種改良、(2)人工授精センターの液体窒素製造、(3)疾病対策と動物薬事へのアドバイスが要請されている。なお、本調査団の受入にかかるミャンマー政府当局の熱意と積極性は強く、政府関係施設の訪問をはじめ、畜産農家、企業畜産などの見学調査に多大の便宜供与と支援があったことを特筆しておきたい。
 
構 成
 1.調査結果の要約と所感
 2.現地事情
 3.畜産経営における環境問題の現状
 4.技術協力のあり方と要望など
  1)一般事情
  2)農業の概況
  3)一般畜産事情と家畜飼養の現況


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