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本報告書は、(財)畜産技術協会が畜産技術総合支援事業の一環として平成15年度にラオス人民民主共和国を対象に実施した先進国海外技術情報収集現地調査の結果報告である。
ラオスにおける畜産は、同国の農業生産額の約半分を占め、農民の生計維持において極めて重要な役割を果たしている。そのため、ラオス政府は2020年に向けた社会経済開発計画においても畜産の大幅な発展計画を掲げて努力しているところある。しかしながら、現状においては、畜産生産は伝統的な小規模農家による庭先レベルのものが大部分を占め、生産技術も未だ低く、技術開発やその普及が要望されている。そこで、この調査においては、ラオスの畜産振興策の一環として、家畜飼養管理技術及び飼料給与・利用技術の分野を中心にした技術協力の可能性を論議して、これらについて調査結果をとりまとめたものである。
この調査では、特に地域での畜産の強化を通じた小農支援、農村開発、貧困削減に貢献することを重点目的として実施したものである。
調査団は、ラオス畜水産局、NAFRI、畜産研究センター、その他国際機関の援助ブロジエクトなどを訪間し、最終的には次のような技術協力が必要となるのではないかという結論に達したと報告している。すなわち、
(1)問題点として、畜産開発についての国家計画では、高い目標を掲げているが、現実的には小農による粗放的な生産により生産性が低いことから、種々の技術的な改善が求められる。
(2)生産性の低い理由には、次のようなことが挙げられる。すなわち、粗放的な飼養のもとで家畜飼料が十分に給与されないこと、特に乾季における対策が必要であること、飼養管理技術が不十分であること、寄生虫を含む動物疾病が多発しているが、十分な防疫措置がとられていないこと、市場の情報が不足し、また、市場のシステムが十分でないこと、畜産生産技術の普及措置が欠けていることなどである。
(3)そうした状況の中で、ラオス当局はわが国への畜産開発の技術協力を要請したいとしたが調査団と協議したその内容は次のとおりとなっている。
(4)全体的な方向としては、小農に対して畜産、特に大反芻家畜(場合により山羊を含む。)の飼養改善を行い、生産性を高めるとともに小農の農業活動を支援して収入増加、貧困軽減、農村地域開発を行うよう、また、小農が従来の粗放的な飼養管理方法を改め、新しい家畜生産システムに馴染むように仕向けることを目指す。
(5)プロジェクトの目的としては、家畜の飼養管理技術と農村地域で利用が可能な家畜飼料の供給と利用についての技術の開発と農家レベルでの活用(家畜飼養の実際についての女性の参画を含む。)を指摘している。 |
1.畜産調査結果の概要
2.畜産振興計画
3.畜産分野における先進国、国際機関の援助実施状況
4.畜産分野におけるにおける課題と援助ニーズ
5.日本の対ラオス技術協力の今後の方向
6.参考資料
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