公益社団法人
畜産技術協会


平成15年度 畜産技術協力総合支援事業
畜産分野における国別援助計画基礎資料 ラオス編
平成16年3月 (社)畜産技術協会 A4判 74頁


 
概 要
 ODA予算の見直しなど国際協力をめぐる諸情勢の変化のなかで、効率的・効果的な協力の実施に資するための国別援助計画の策定が、畜産協力の分野でも計画的にすすめられている。インドネシア(平成12年度)、ベトナム(13年度)、カンボジア(14年度)に続いて、平成15年度はラオスを調査対象国として本基礎資料が作成された。作成には、ラオスの農業畜産分野の技術協力や調査事業等に経験を有する5名の委員と関係機関等の助言者からなる検討委員会を設け、資料の収集や分析、全体討議等を行って、報告書の形に集大成されたものである。
 検討にあたっては、@耕種農業と畜産―ラオスの農業における畜産の役割、A国民食料としての畜産―畜産食品の生産と消費動向、B企業的畜産の現状と将来、Cラオス畜産の地域的な特色、Dこれからのラオスの畜産、といった視点で整理している。

 ラオスの農業の特徴は、農産物を生産し、販売して対価を得るというよりも自給自足的な様相が濃く、主食である米が国全体として自給できるようになったのはここ数年来のことという。農業の様式の違いや地域格差が大きいが、山岳地帯、高原地帯、メコン河流域の3地帯に分けて、その概要が紹介されている。農業構造、土地の所有構造のほか、農業生産の動向や農業振興の諸施策と制度についても述べられている。
 ラオスの農業は国内総生産の53%を占め(1999年)、畜産生産は農業生産の34%、GDP全体の18%を占める基幹的産業であるが、主要家畜別にその飼養状況と課題が述べられている。畜産開発戦略としては2020年の達成に向けた生産目標が策定され、水牛、牛、豚、家禽のいずれにおいても野心的ともいえる頭羽数の増と生産拡大を目指している。貧困削減の基本戦略は「国家管理の市場経済」の発達とされている。
 最貧国に区分されるラオスに対する国際支援は、かっては社会主義諸国からの協力が中心であったが、FAO等の国際機関による援助に加えて、社会主義諸国の支援が下火になるとEUやオーストラリア等からの援助が増加している。さらに国際的なNGOによる協力も盛んである。畜産分野のこれらの協力の様相が、詳細に紹介されている。

 これからの協力にあたっては、@農家のニーズに応える参加型の普及、A人材不足への対応、B包括的なアプローチ、C長期的な視点に基づくプロジェクト等が必要とされ、畜産の分野で緊急に対処すべき課題として家畜衛生体制、飼料対策、家畜改良体制の3分野をあげ、これら畜産開発のための戦略とわが国の畜産協力のありようについても考察を加えている。
 
構 成
 1.ラオスの概要(自然・社会条件、政治、経済)
 2.農業(農業構造、生産の動向、振興施策、試験研究と技術普及、林業と水産、農林水産貿易、国際協力等)
 3.畜産(行政組織と施策、飼養状況と課題、家畜改良、家畜衛生、生産・流通、飼料、畜産環境問題、国際協力等)
 4.今後の課題(ラオス畜産の展望、問題点、畜産開発の戦略、わが国の協力)


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