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我が国の畜産技術協力の効果的、効率的実施を推進するため、米国およびカナダの国際協力政策、システム、協力の実態、蓄積された協力経験などの情報の収集とこれらの我が国への応用を検討する調査を行った。米国は2000年ベースでの援助総額が援助国22カ国中第2位であり、カナダは第6位で、両国はアジア地域でも主要援助国となっている。米国の農業援助は農民や民間企業の参加による技術援助など、ユニークで効果的な援助が展開されており、カナダではNGOからの提案型協力案件の入札方式による援助がかなり以前から導入されているなど、両国の援助システムは多様であり、我が国にも参考になるものであった。調査先は米国政府援助機関(USAID)とカナダ政府援助機関(CIDA)である。
米国での調査結果:USAIDは400以上のNGO、地域組織、大学や3,500以上の米国の企業と協力して100カ国以上の国々で援助活動を行っている。援助の二大目標は民主主義と自由市場の拡大による米国の外交政策上の利益の追求と発展途上国の国民生活の向上である。この目標の達成に向けて以下の戦略フレームを設けている。@経済成長と農業の発展 A民主主義と統治能力 B教育と研修による人材育成 C世界の人口と健康問題 D持続的な環境保全 E自然および人工的災害からの人命救助と政治的経済的復興 F横断的事項(ジェンダーの平等、組織機構の改善、市民社会の発展、危機管理、情報技術) また、政府開発援助における優先地域、優先国選定の基本的考え方は以下の三つである。@政策やプログラムを遂行するには技術、資源が不足している国々 A地域の平和維持に米国と共同して行動している国々 B経済的政治的に全体主義から脱却しつつある国々
カナダでの調査結果:CIDAはカナダ国内に1,200人、国外に300人規模の職員で世界の120カ国以上で活動している。日本のJICAとの間に職員の交流が開始され、開発援助実務における関係強化が図られている。CIDAの対外援助の目標は貧困の削減による安全で公平で繁栄した世界を創るための持続性のある社会の発展を支援すること、および民主主義の発展、経済自由化、国際的並びにカナダに対する脅威の減少である。CIDAは過去において必要以上に複雑化して援助そのものよりも組織運営に費やされる時間が多かったことの反省にたち、組織内のオンライン環境の整備と成果の評価の改革に基づく効率的運営を図っている。 |
1.米国・カナダ調査団派遣計画
2.米国での調査結果
3.カナダでの調査結果
4.入手資料
5.参考文献
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