本資料は、平成16年12月、東京で開催されたJLTA小規模酪農経営の発展に関する地域研究会(畜産技術協会の国際支援活動の一環)の報告書で、研究会には日本を含め11カ国が参加した。
基調演説は、中央畜産会副会長中瀬信三氏から「日本における酪農発達の回顧」、インド農務省畜産部門理事Dr.V.K.Tanejaから「インドにおける小規模酪農の経験と今後の発展」について行われた。日本酪農は終戦以降、畜産物価格安定法、加工乳不足払い制度、牛乳生産調整、国際化対応などの行政的振興策や、搾乳、繁殖、育種、飼料給与などの酪農技術の推進があって頭数及び乳量ともに飛躍的に増加した。しかし、最近酪農家戸数は中小規模層を中心に減少したことなどが説明された。インドは世界最大の酪農国であり、@乳生産における水牛の依存度が高く、牛の個体乳量は低いが、5,820万頭の牛、4,270万頭の水牛から合わせて8,470万トン・年のミルクが生産され、また、A2ha以下の小規模農家層が国の耕地の約62%を持ち、また、10頭前後の飼育層が全体の約68%の乳用家畜を所有し、インドの酪農ではこれら小規模酪農経営が重要な役割を果たしているなどの特徴を持ち、酪農家群は前から組織化され、国はその活動を支援し、乳加工プラントの設置、乳製品市場や経営支援体制の整備につとめ、疾病予防、繁殖、保険等のために約5万の獣医施設、3.5万人の獣医師などを配置して下部サービスを支援している。酪農はインドの重要な産業であり、人口当たりのミルク消費は増加しており、自給率もほぼ達成され、技術的、経営的にまだ問題はあるが、今後も小規模酪農経営が酪農の基幹として重要な役割を果たすと述べた。
次いで参加国の酪農事情、施策、問題点などについて概要の説明があった。参加国の酪農事情に差はあるが、一方、共通する問題点も多い。共通項として暑熱環境下における牛乳生産のため、飼育乳牛は耐暑性のある高乳量牛が望ましく、このため土着牛とホルスタイン種との交雑が各国とも盛んである。しかし、いずれも個体乳量は低い。乳用水牛の飼育も多く(インド、カンボジヤ、ミヤンマーなど)、ネパールではヤクが乳製品生産の一翼を担っている。古くから乳製品に依存する食習慣があるためミルク類の需要は高いが、ネパールを除く国々では自給できず、多量の乳製品を輸入している。各国とも酪農への期待は大きいが、飼育規模は小さく、飼育技術も未熟で、乳牛の飼育、管理、繁殖技術、疾病対策、乳牛飼料生産、乳量増加の充実を望む声が大きい。ただ、各国とも交通体制、電力供給など基本的インフラの整備に後れがあり、近代酪農への取り組みには困難が多いようである。
日本からは、稲のホールクロップサイレージ調製給与技術、南九州の酪農経営、JLTAの海外協力などについて説明があり、収穫の多い研究会を終了した。
|
1. 研究会日程及び参加者
2. 研究会報告の行政抄録
3. 基調講演 1)「日本酪農発展の回顧」2)「インドの小規模酪農経営―経験と今後の発展」
4. カントリーレポート 1)カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシヤ、ミヤンマー、ネパール,フイリッピン、タイ、ベトナム。
5. カントリーレポート 2)日本
|
|