公益社団法人
畜産技術協会


平成16年度畜産技術協力総合支援事業
先進国海外技術協力情報集現地調査報告書 −ブータン国−
平成17年3月(社)畜産技術協会


概 要
 本報告書は、平成16年度に日本中央競馬会特別資金による助成事業(先進国海外技術協力情報収集事業)により実施したブータン国の現地調査結果を取り纏めたものである。
 ブータン国の畜産は、国民へのたんぱく質供給源、輸入代替品及び農業の多様化対象作目の一つとして極めて重要な地位を占め、政府もその振興に努力しているが、農家レベルでの畜産経営は小規模な庭先飼養の経営が大半で、生産技術も遅れている。そのため、ブータン国の畜産農家の所得向上、生活改善、農村社会の健全な発展のためには、畜産農家の生産技術の改善、現地で容易に利用できる生産資源の活用を組み入れた低コストで持続可能な、しかも自然資源・環境保全型経営の発展と経営規模の拡大が急務となっている。
 平成13年度に実施されたブータン国畜産事情調査団の調査結果等によれば、小規模酪農に焦点を当てた畜産開発援助を行うことが同国の畜産振興上極めて重要であることが判明したので、本調査は、ブータン国政府との協議および現地調査を通じて、小規模酪農振興基盤とした畜産開発協力に関する協力案件の形成促進を図ることを目的に実施されたものである。
 調査結果は以下のように総括(報告書41頁)されており、酪農振興に係る技術協力案件の提案がなされている。
(1)牛乳販売による現金収入は農村部の貧困軽減に大きな意義を持つ。
(2)集乳、販売、処理加工等のための農家グループ・協同組合・小企業の育成は、酪農振興及び村落開発上必須である。
(3)インド等からの乳、乳製品の輸入を代替する国産の乳、乳製品の消費拡大の余地は十分にある。ヨーグルトやアイスクリーム等の新製品の開発も望まれている。
(4)酪農振興を可能にするためには、乳牛改良、飼養管理の改善、草地・飼料作の改善、生乳・乳製品の処理加工・品質向上のための技術的協力が必要である。
(5)プロジェクト対象地域はブータン国側提案のブムタン県は遠隔地等の点で適当でなく、酪農振興地域に指定されている西部のパロ県、ハー県を提案する。
(6)成果をどのようにして全国レベルへ普及するのかの仕組みの考慮と人材育成も必要である。
(7)カウンターパートとしては、畜産局本省職員、県畜産官、家畜改良センター職員、普及所職員、王立ブータン大学農学部等が想定されるが、乳処理加工関係のカウンターパートとして適当な人がいるかどうかの調査が必要である。
(8)他国や国際機関等の援助プロジェクトと協力分担関係を保ち小規模酪農振興行うことができる。
(9)家畜改良、早期利用、品質規格、マーケッティング等の法整備・計画策定が重要である。
 
構 成
まえがき
写真
I ブータン調査団派遣計画
II ブータンでの調査結果
 1.畜産振興計画
 2.畜産の現状と課題
 3.我が国の援助の現状と援助の要請
 4.畜産分野における先進国、国際機関、海外NGOの援助実施状況
III 入手資料
IV 参考資料


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