公益社団法人
畜産技術協会


平成9年度めん羊・山羊の特定疾病対策事業
めん羊・山羊の特定疾病手引書
(スクレイピー・ヨーネ病)
平成10年3月 社団法人 日本緬羊協会 会長 豊田 晋


まえがき
(社)日本緬羊協会は平成9年度、地方競馬全国協会が推進している畜産振興補助事業の補助を受けて「めん羊・山羊の特定疾病対策事業」を実施し、この事業の中でスクレイピーとヨーネ病に関する手引書を作成して関係者に配布することとなりました。
 めん羊は、需要の強いラム肉生産やふれあい牧場、羊毛加工への関心の高まりにより、また、山羊は、山羊乳の利用や肉消費の拡大等により、中山間地等における地域振興の一作目として期待が寄せられています。
 しかし、平成8年3月、スクレイピーを原因とする狂牛病が発生し、これが人へも感染する可能性が示唆され、さらに、国内におけるスクレイピーやヨーネ病の発生の事実が発表されるに及び、これらの病気に対する的確な情報の不足から、生産者等関係者はもとより一般国民の不安も高まりました。
 このような状況の中でめん羊・山羊の振興を図るためには、これら病気への不安を払拭することが不可欠であり、そのためには正しい知識の啓蒙普及が緊急の課題となったことから、関係資料等を収集して取りまとめ、平易な手引書として「めん羊・山羊の特定疾病手引書(スクレイピー・ヨーネ病)」を作成することといたしました。この手引書がめん羊・山羊飼養の関係者や関係機関に広く活用されることを期待してやみません。
 手引書作成に当りましては、企画・編集を煩わせました各位を初め執筆を賜った諸先生方、さらに委員会の取りまとめ及び監修の労を賜りました吉本正氏、品川森一氏、横溝祐一氏など関係された多数の方々のご努力に対し、衷心より厚くお礼を申し上げます。
 また、今回も絶大なご援助を賜りました地方競馬全国協会とご指導をいただきました農林水産省ご当局に対しましても深く感謝の意を表します。
 
 
平成9年度 めん羊・山羊の特定疾病対策事業 企画検討委員・編集委員・執筆者
(敬省略・順不同)

監    修
○ 修  括  吉 本   正
麻布大学 獣医学部 動物応用科学科
○ スクレイピー編
 品 川 森 一
帯広畜産大学 獣医学科
○ ヨ ー ネ病編
 横 溝 祐 一
農林水産省 家畜衛生試験場 製剤研究部

企画検討委長
 吉 本   正
 分 部 喜久男
 大 塚 誠 也
 坂 田 光 弘
 横 溝 祐 一
 白 戸 綾 子
 播 谷   亮
 品 川 森 一
 出 岡 謙太郎
 星 井 静 一
 近 藤 知 彦
(委員長) 麻布大学 獣医学部 動物応用科学科
農林水産省 畜産局 家畜生産課
農林水産省 畜産局 衛生課
農林水産省 畜産局 家畜生産課
農林水産省 家畜衛生試験場 製剤研究部
農林水産省 家畜改良センター 岩手牧場
農林水産省 家畜衛生試験場 総合診断研究部
帯広畜産大学 獣医学科
北海道立滝川畜産試験場 めん羊科
社団法人 酪農ヘルパー全国協会
日本緬羊研究会

編 集 委 員
 吉 本   正  
 俵積田   守
 大 塚 誠 也
 横 溝 祐 一
 白 戸 綾 子
 品 川 森 一
農林水産省 畜産局 家畜生産課
農林水産省 畜産局 衛生課
 
農林水産省 家畜衛生試験場 製剤研究部
農林水産省 家畜改良センター 岩手牧場
帯広畜産大学 獣医学科

執 筆 者
○ スクレイピー編
 播 谷   亮
 自 戸 綾 子
 品 川 森 一
 松 井 高 峯
農林水産省 家畜衛生試験場 総合診断研究部
農林水産省
帯広畜産大学 獣医学科
帯広畜産大学 獣医学科
○ ヨーネ病編
 横 溝 祐 一
 百 渓 英 一
 白 戸 綾 子
 松 井 高 峯
農林水産省 家畜衛生試験場 製剤研究部
家畜衛生試験場 生体防御研究部
農林水産省 家畜改良センター 岩手牧場
帯広畜産大学 獣医学科
 
 
目 次
スクレイピー編
カラーグラビア
第1章 はじめに 播谷  亮
  1.概  要  
  2.病気の概要と特徴  
  3.スクレイピーの歴史  
  4.世界における発生状況  
第2章 発症と診断 品川 森一
  1.スクレイピーの感染と発症  
  2.スクレイピーの病原体  
  3.スクレイピーの発症と宿主遺伝子  
  4.スクレイピーの発症と診断 松井 高峯
   1) 症  状  
   2) 診  断  
   3) 類症鑑別等  
第3章 発生予防  
  1.スクレイピーの伝染防止と清浄化対策 播谷  亮
  2.海外からの侵入防止策  
  3.人への感染の危険性 品川 森一
第4章 国内におけるスクレイピー  
  1.発生の事例 松井 高峯
  2.発生の経緯 播谷  亮
  3.発生後の処置  
  4.法的措置  
  5.今後の対応  
第5章 Q&A 白戸 綾子
 
ヨ ー ネ 病 編
第1章 はじめに 横溝 祐一
  1.概  要  
  2.病気の特徴  
  3.世界における発生状況  
  4.経済的損害  
第2章 発病と診断  
  1.病原体の分類と特徴 横溝 祐一
  2.ヨーネ病の感染と発病機構 百渓 英一
   1) ヨーネ病の感染  
   2) 腸粘膜への侵入と初期変化  
   3)病変の形成過程  
   4)病変形成と臨床症状  
   5)潜伏期聞から発症にいたるメカニズム  
   6)ヨーネ菌の排菌機構  
  3.ヨーネ病の病理学的診断法  
   1)肉眼的病変の特徴  
   2)病理組織学的分類  
   3)病変と免疫の関係  
   4)病理学的に鑑別すべき疾病  
  4.ヨーネ病の病原学的診断法 横溝 祐一
   1)塗抹染色鏡検法  
   2)培養分離法  
   3)PCR法(poIymerase chain reaction)  
  5.ヨーネ病の免疫学的診断法  
   1)CF反応(補体結合反応)  
   2)ELI5A(酵素抗体法)  
   3)ID反応(免疫拡散反応)  
   4)ヨーニン反応  
   5)IFNγ一ELISA  
   6)免疫学的診断法の利用法  
第3章 発生予防  
  1.ヨーネ病の伝染防止と清浄化対策 白戸 綾子
   1)ヨーネ病の特殊性と防疫対策  
   2)ヨーネ病の伝染防止と清浄化の具体策  
   (1)清浄群あるいは汚染の可能性が小さい群における対策  
   (2)ヨーネ病汚染の可能性がある群における対策  
   (3)ヨーネ病による汚染が確認された群における対策  
   3)ヨーネ菌の消毒・殺菌方法  
   (1)加熱殺菌  
   (2)有効な消毒薬  
   (3)畜舎の石灰乳消毒の手順  
  2.海外からの侵入防止対策  
  3.人への感染の危険性 横溝 祐一
第4章 国内におけるヨーネ病  
  1.国内における発生状況 松井 高峯
  2.発生事例と防疫処置 横溝 祐一
第5章 Q&A 白戸 綾子


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