公益社団法人
畜産技術協会


平成13年度畜産関係温室効果ガス抑制技術等調査検討事業報告書
海外調査報告書(第7報)
平成14年3月 (社)畜産技術協会 A4判42頁


 
概 要
 畜産技術協会は、農林水産省畜産局の委託を受け、平成3年度から「地球温暖化関連家畜飼養技術等検討調査事業」を、続いて平成7年度から「畜産関係温室効果ガス制御技術等調査検討事業」を実施している。平成13年度においても、学識経験者による温室効果ガス発生の定量的な解明、制御技術などの検討を進めたが、本年度がこの事業の最終年度であることから、調査検討委員会の報告書は、別に総集編としてまとめて報告した。平成13年度における海外情報収集は畜産の盛んなオーストラリア国およびデンマーク国を対象に実施し、それぞれの温室効果ガスの対応・体制についての調査結果を本報告書にとりまとめた。
 
構 成
二つの国の調査成績は次のとおりである。 
1.オーストラリア国:オーストラリアにおける温室効果ガスに関する研究の中心機関は豪州温室効果庁(AGO)で、ここでは豪州における温室効果ガスの排出実態と対応策を取りまとめている。連邦科学産業研究機構(CSIRO)所属の畜産関係研究機関では反芻家畜のルーメンにおけるメタン発生量の把握ならびにその抑制法の研究を進めている。豪州肉畜協会(MLA)は、反芻家畜の肉、家畜生産者、加工業者、輸出業者より構成される協会で、業界に関連する調査、研究・開発、情報サービスを行なっているが、オーストラリアの温室効果ガスの全排出量の20%が農業に由来することから温室効果ガスについての関心はかなり高いものがある。酪農研究開発公社(ORDC)は、産業界と政府の援助により設立され、酪農産業の経営向上と社会的地位向上を図る研究・開発、情報収集・整理、普及を担当して組織だが、温室効果ガスについての調査も実施している。オーストラリア国における温室効果ガスに関する主な研究課題は次のとおりである。(1)温室効果ガス目録改訂作業、(2)家畜からのメタン発生量測定法、(3)熱帯地方の飼料を給与した家畜からのメタン発生量、(4)クイーンズランド州中部地域の肉牛からのメタン排出量、(5)酪農場から排出される温室効果ガスに関するレビュー、(6)新しいメタン発生量制御技術の開発などでかなり具体的な課題が多い。
2.デンマーク国:デンマークの温室効果ガス排出量の26%は農業分野からである。ここで訪問した肉牛農家、酪農家、農業普及組織、農民組合(農民同盟)、デンマーク農業科学研究所、南デンマーク大学ではいずれも温室効果ガス抑制への関心は高い。抑制対策としては反芻動物への餌給与の改善とともに家畜排泄物の嫌気的消化によるエネルギー獲得・利用および消化処理後のスラリ−中の栄養塩類の土地利用が中心となっている。
 


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