はじめに
温帯を原産とするザーネン種のような乳用山羊は、秋に交配、春に分娩の季節繁殖を営むため、子山羊の生産や山羊乳の出荷は、季節的な制約を受ける。この制約を取除くのが、季節外繁殖技術である。
内 容
節外繁殖のメリットは、山羊乳の周年出荷と、繁殖サイクルの短縮による子山羊の生産効率向上である。平成9年度より、長野牧場では性ホルモン投与による山羊の季節外繁殖の開発に取組んできた。その結果、膣内留置型黄体ホルモン製剤(CIDR-G)と妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)の併用により、繁殖季節外の5月に発情誘起、交配、受胎し、11月に分娩、搾乳開始することに成功した。季節外繁殖で分娩した母山羊の泌乳曲線は、通常繁殖の場合と異なる推移を示し、一泌乳期の総乳量が増加する可能性が示唆された。また、生産された子山羊は、通常繁殖による産子と変わらぬ発育を示した。
今後の課題
CIDR-Gは試験的に輸入された製剤であるため、一般農家での普及には、これに代わる市販黄体ホルモンによる処置の検討が必要である。さらに、季節外繁殖を組込んだ2年3産と言った繁殖サイクルにおいて、母山羊の泌乳成績・繁殖成績、子山羊の発育・繁殖性など、総合的な生産性の評価が今後の課題である。
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