公益社団法人
畜産技術協会



めん羊の季節外繁殖技術
家畜改良センター 岩手牧場  村田 亜希子[H13/他動物/繁殖]


はじめに
 我が国のめん羊産業はラム肉生産を中心に、羊毛などの生産物利用、観光牧場、そして実験動物など様々である。めん羊は季節繁殖動物のため、一年を通しての安定供給ができない。そこで、繁殖季節外に発情を誘起させ、一年中生産できる技術の確立が望まれている。

内 容
1.めん羊の繁殖季節と繁殖生理:雌羊は日照時間が短くなると中枢神経が刺激され、ホルモンが分泌され、9月から1月に発情する(図1)。一方、雄羊は、非繁殖季節には性欲の減退、精子形成低下、精子の運動性低下があるが、大きな低下ではない。
2.黄体ホルモンとPMSG注射による季節外繁殖(プロジェストージェン法): 黄体ホルモンを9〜12日間連続で筋肉内注射、最終日に妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)を筋肉内注射し、発情を誘起させる技術で、毎日の投与の手間や注射のストレスが問題である。
3.スポンジ法による季節外繁殖:スポンジに染みこませた黄体ホルモンを9〜12日間膣内に挿入し、処置終了2日前にPMSGを筋肉内注射して、発情を誘起する。外国では黄体ホルモン含有のスポンジが市販されているが、日本ではない。現在、自分で黄体ホルモン含有スポンジを作成しているが、乾燥後のホルモン剤脱落や作成に時間がかかる問題がある。
4.膣内クリーム法による季節外繁殖:黄体ホルモンと市販軟膏(オロナイン)を混ぜてクリーム状にしたものをアプリケーターの先端部に注入し、後方からスポンジで押して膣内に挿入する。膣内に7〜10日間挿入後、除去する際にPMSGを筋肉内注射し、発情を誘起する(表1)。この手法も挿入剤を作成する手間などから一般的な技術にはなっていない。
5.「CIDR」による季節外繁殖:「CIDR」はニュージーランド製の膣内装着型黄体ホルモン剤である。天然のプロジェステロンをしみこませてあるT型の樹脂を専用アプリケーターで膣内に挿入する(写真1)。なお、「CIDR」の挿入期間は膣内クリーム法より長く12日間である(表2)。
6.交配時期を最大限に利用する方法:8月〜2月という発情期間を最大限に利用した交配スケジュールで、子羊生産時期に幅をもたせることができる(表3)。

おわりに
 このほか、めん羊の 季節外繁殖法には、光周期を人為的に短日化させる方法などがあるが、確実と言える状況ではない。飼養者や消費者ニーズに対応して、年間を通して産子が得られるように季節外繁殖技術の研究を進め、実用化させる必要がある。

[問合先]
Eメール:a0murata@nlbc.go.jp

表1 膣内クリーム法を使用した自然交配による季節外繁殖成績


 

表2 CIDRを使用した自然交配による季節外繁殖成績


 

表3 交配時期を8〜2月にした時の繁殖成績


 


図1 めん羊の季節毎の内分泌機構

 

写真1  めん羊用のCIDR

 


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