公益社団法人
畜産技術協会



畜産技術の紹介:羊
廃用羊毛の利用法
羊毛関係


■羊毛を肥料として利用する
◎羊毛は、微生物によって完全に分解できる生物分解性繊維であり、窒素、リン酸、カリなどの植物に必要な養分を含んでいます。このため、羊毛を腐熟、土壌化することにより、良好な有機質肥料が得られます。

●羊毛堆肥を作る

 
@コンポストポットによる堆肥作り
・生ゴミ処理用として市販されているコンポストポットを利用して、生ゴミ・土・羊毛・土の順で積み重ねます(何層重ねてもよい)。
・土中のバクテリアの作用で生ゴミと羊毛が発酵、分解し、夏場なら3ヵ月程度で堆肥ができ上がります。
・コンポストポットがなくても、庭や畑に1m程度の穴を掘って、同じように生ゴミと羊毛を積み重ねても堆肥を作ることができます。
A他の堆肥との積み重ねによる堆肥化
・羊毛を家畜の糞などの堆肥と混ぜることでも堆肥化が可能です。
・図のように、約15kgの羊毛と0.8m3の堆肥を交互に積み重ねることで、適度な通気性が得られ、好気性の発酵を促します。このため、この程度の小さな積み重ねでは、そのまま放置するだけでも夏場なら3ヵ月程度で堆肥化しますが、大量に処理する場合には、中心部まで空気が行き届かないので切り返しを行う必要があります。
●羊毛を畑に鋤き込む
・羊毛をそのまま積み重ねておくだけではなかなか堆肥にはなりませんが、有機物の多い土に1〜2cmの厚さで鋤き込むだけで羊毛は分解され、土壌に還元されます。
・この場合の羊毛の効果は、窒素、リン酸、カリのような肥料としての効果よりも、むしろ土壌の団粒構造化や保水性などの物理的な土壌改良資材としての効果が期待できます。
■ハンギングバスケット

・ハンギングバスケットは、壁などに掛けたり吊したりできる鉢のことです。一般にココナッツヤシの繊維や水ゴケが中敷き(ライナー)として使われますが、羊毛を用いると、非常に保水性がよく、日照り続きでも安心です。
・羊毛を3〜4cmの厚さに敷いて、その中に土を入れ、草木の根を羊毛で軽く巻いて植え込みます。
・バスケットの植物を地に降ろす場合は、羊毛が土に還元されるので、中敷きごとそのまま植え付けることができます。
■鉢植えやプランター

・寄せ植えなどで大きな容器を用いる場合に、重くならないように発砲スチロールなどの詰め物を入れることがありますが、羊毛を使うと、少ない土で植え付けができ、適度な保水性が得られます。
・通水性がよいのでゴロ土の代わりに用いることもできます。
■養液栽培

・フェルトの切り屑や羊毛屑を水ゴケの代用品として、室内園芸に利用できます。
・かいわれダイコンやミツバなどの苗床として用いることもできます。この場合、事前に消毒する必要があります。

 
■ウールマルチ
・マルチは、乾燥防止、防暑、防寒、雑草の防除などの目的で植物の株元に敷く覆いのことで、現在はビニールマルチが一般的ですが、自然に土壌に吸収される有機物のウールマルチ材がビニールに代わる製品として考えられています。
 
◆国産羊毛は、残念ながら一部の手紡ぎ家や染織家の利用を除いてほとんど使われていないのが現状です。また、糸やフェルト、布団綿などに加工する場合にも、刈り取られた羊毛からは、スカーティングにより、15%程度の裾物(汚れや夾雑物が多く、利用しにくい部分)が出ます。
これらの利用されない羊毛は、焼却すれば窒素酸化物による環境問題に発展する可能性もあり、ただ捨ててしまうのももったいないことです。そこで、処分に困った廃用羊毛を園芸用などに利用してみてはいかがでしょうか。国産羊毛の新たな活用法が見つけられるかも知れません。


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